日米比較 Anime の魅力とは何か

日本のアニメが海外でも ANIME と呼ばれるようになってから久しいです(かつて流行った Japanimation という言葉は今では死語です)。日本では日本製でもアメリカ製でもフランス製でも、絵が動くのは「アニメ」ですが、海外では anime は日本製アニメのみを指します。一方、『トムとジェリー』みたいなアメリカ製のアニメは cartoon(カートゥーン) と呼ばれます。

日本のアニメが海外でも人気を得たことは、日本でも多くの人が知っているところですが、なぜ anime は海外でも人気を得られたのでしょうか。cartoon にない anime のおもしろさとは? 今回はアメリカの国民的アニメ『The Charlie Brown and Snoopy Show』(以下『スヌーピー』)と日本の国民的アニメ『ドラえもん』で描かれた野球のシーンを比べて、簡単に違いを見てみましょう。(※『スヌーピー』と『ドラゴンボール』を比べたら卑怯だと思うけど、『スヌーピー』と『ドラえもん』なら、比較的フェアだと思うんだ)

まずは cartoon の野球シーン(引用は1966年 "Charlie Brown's All Stars!" (日本のカートゥーンネットワーク放送時の邦題は『ユニフォームがほしい』)から)。

ピッチングに入るチャーリーブラウン
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投げた!
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打たれた!
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ボールを追っかける守備のライナス
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キャッチ失敗
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チェンジになり、バッターはシャーミー
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打った!
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喜ぶチャーリー・ブラウン。(と、全く興味無しのルーシー)
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見てわかるとおり、全て同一カメラアングルから描かれています。スローや止め絵などもありません。

では、『ドラえもん』の野球シーンを見てみましょう。(今回使ったのは1991年5月放送の「アクトコーダー」です)

のび太たちが河原で野球をしているシーンから始まります。
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全体像がぱっとわかるように、フカン(俯瞰。上から見下ろすこと)で始まります。このフカンは日本の作品では場面が変わるシーンで多用される構図ですが、アメリカのカートゥーンにはあまり見られません。

ジャイアンズ(のび太のチーム)がヒットを打ちます。
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このように、一人がアップで、後ろに奥行きが感じられる構図も、カートゥーンにはありません。

喜ぶベンチ。ジャイアンは「次のバッターは誰だ?」とスネ夫に聞きます。
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カメラが切り替わり、スネ夫がアップになります。リストを見て「よかった、のび太だ!」と叫ぶスネ夫(この前の試合で、のび太はまぐれホームランを打っていたのだ!)。「がんばって」と言うしずか。
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カメラが左にスライドし、のび太を写します。気合を入れるのび太。
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ここで、最初からのび太を写さず、スネ夫が「(次は)のび太だ!」と言ってから画面がスライドしてのび太を写すことで、「次はのび太か!」「あ、のび太が映った!」「どうなるのかな」と、視聴者の期待感が高まる効果があります。

のび太がバッターボックスに向かいます。
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ここでピッチャーを大きく、奥にのび太を配置することで、画面がピッチャー視点となり、視聴者には強打者(と思われてしまっている)のび太を見るピッチャーの不安が伝わってきます。

バッターボックスに入り、かっこつけるのび太。
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このように下から見る構図を「アオリ」と言いますが、これもカートゥーンにはめったに見られない構図です。この威圧感がある構図で、のび太のやる気がよりよく伝わってきます。

ベンチは前回ホームランを打ったのび太に期待大。
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ここでも、のび太越しにベンチを見るのび太視点にすることで、読者には応援されて期待にこたえようとするのび太の感情が伝わります。

やる気マンマンののび太。
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不安な表情で投げるピッチャー。
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見ての通り、ピッチャーを正面から描くことで、ボールが視聴者に向かって飛んできて、画面いっぱいまでアップになります。これによりボールの迫力が横から見るよりも遥かによく伝わってきます。これも、カートゥーンにはない表現です。

アップになるのび太。視聴者にのび他のやる気が伝わります。
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次の瞬間、空が映り、雲がすごいスピードで流れていきます。つまり、これはボールの視点です。
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そして結果は…
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空振り! やはりのび太はのび太でした。

しかし、最後もボールのアップが映ってから、それがどんどん小さくなりミットに納まることで迫力が出ています。さらに、ここまでのカメラアングルの切替はすごいスピードで起こっており、読者を飽きさせないと同時に、スピード感を出す効果が発揮されています。(ピッチャーが構えてからボールがミットに納まるまで約8秒しかかかっていません。8秒の間に5つのカメラワークが入っています

見てお分かりの通り、日本のアニメは実に多彩なカメラワークを駆使していることがわかります。このような構図の工夫が、カートゥーンと日本のアニメの大きな違いの一つです。

なぜ、日本のアニメは多彩な構図(カメラワーク)を用いるのか。それはキャラクターの感情を視聴者によりよく伝えるためです。

日本のアニメは、客観的なフカンや横からの視点、威圧的なアオリ、上の『ドラえもん』なら「のび太視点」、「ピッチャー視点」、さらに「ボール視点」まで入れることで、視聴者には各キャラクターの感情がわかりやすくなります。単純な絵で描かれていると勘違いされがちな『ドラえもん』も、視聴者がキャラクターに感情移入できるように、こんなに複雑なカメラワークを駆使しているわけですね。

勘違いしてほしくないのですが、私は、カートゥーンがアニメより劣っていると言いたいのではありません。実際、私は『スヌーピー』は大好きです(特になべおさみが吹き替えたバージョンが)。カートゥーンのナンセンスギャグは大笑いできるものも多く、カートゥーンも日本のアニメもどちらが好きかは個人の好みであって、特に優劣をつけるつもりはありません。しかし、作画の工夫によるキャラクターの感情表現という点では、日本のアニメは非常に優れており、それが anime が世界的に人気を得ることができた一因であると思います。

日本のアニメ業界はお金も時間もない中で、なんとかして魅力的な作品を作ろうとした結果、このような工夫が生まれたのです。先人たちの努力に感謝。

というわけで、もしもあなたがアニメを Y○utbe とか Da○m とか Ve○h とか、ネットの違法アップロードで見ているとしたら、もうやめてください。それはアニメを作ってきた制作者の努力をないがしろにし、今後のアニメ界のレベル低下を招く原因になります。もしなぜそういうものがいけないのかを知りたい方は、詳しくはこちらの記事をお読ください。ネットでの違法視聴は万引きと同じです。

(全然関係ない話ですが、万引きについて勘違いしている人が世の中多いんじゃないかと感じているので少しだけ。100円のお菓子が万引きされたとしたら、その損を取り戻すには100円のお菓子1個売ればいいんじゃないんですよ。100円のうち、仕入れ値が仮に80円だとしたら、1つ万引きされたら5つ売らないとその損は埋まらないんです。軽い気持ちで万引きをする人は、そういうこと夢にも考えないんじゃないのかなあ…。小売店が100円稼ぐのがどれだけ大変なのか考えて欲しい…)

最後話題がずれましたが、「MANGA王国ジパング」は、今後も anime の魅力を皆様に伝えていきたいと思います。

ではまた!


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この記事へのコメント

HEu
2012年03月18日 23:40
>一方、『トムとジェリー』みたいなアメリカ製のアニメは cartoon(カートゥーン) と呼ばれます。

70sにアニメを見ていた世代としては
cartoon(カートゥーン)とアニメ、両方に入るのがその『トムとジェリー』
なんだよね感覚としては。

いやポパイとかディズニー系の作品は明らかにcartoon(カートゥーン)
なんだけども。
m
2012年03月19日 16:07
正しい引用ならば合法です
著作権者に許可をとる必要はないし権利者がNGと言った所で
正当な利用であれば取り下げる必要はないよ
「もしこれが違法行為なら」と言ってる人がいるけど
合法ならば矛盾は生じないですよ
構成の主従関係では問題ないけれど
著作権表記と引用元の明示がされていないこと
画像の二次使用防止の為とはいえサイト名の焼き込みは
問題あるような気がします

ディズニーアニメはカメラで言う長回しの映像が多くて
その中でキャラクターが豊かに動きまわる
リミテッドアニメの苦肉の策だったカット割りでの
動き演出が、アニメならではの映像的快感につながってくる
制約の中から表現が生まれるのはいかにも日本らしい
2012年03月19日 18:03
漫画、アニメにこういう映画技法取り込んだ手塚治虫ってやっぱすごいな
2012年03月20日 21:48
ここ正規で購入した外人の反応しか取り上げない稀有なサイトだから
管理人は違法視聴に対して言うのは構わないと思うよ
pu
2012年03月20日 23:50
しかしそうは言っても今は入り口は無料にする時代になってるからね