これが欧州における日本サッカーの原点だ! ヨーロッパ版『キャプテン翼』大解説1!

フランスに先日、日本サッカーが初めて勝ちましたね。それもアウェーで。サッカー大好きのサザえもんとしては、嬉しい限りです。(ブラジル戦は残念でしたが…。何なの、あの黄色い人たち? ピッコロ大魔王に勝って「オレたち最強!」と思ってたところに、フリーザが現れたような気分です…)

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さて、そのフランスが日本のマンガ好きの国であるということはご存知でしょうか? なんと、フランス戦前日の記者会見でも、フランス記者がフランス代表キャプテンに『キャプテン翼』について尋ねるたり、スポーツメディアで日本サッカーの紹介で『キャプテン翼』のジュニアユース編で日本がフランスを破るシーンが流れたというのだから、大したものです(参考記事こちら)。これまでにも何度かフランスの話は書いていますので、こちらからまた読んでもらえると嬉しいです。

さて、というわけで、今回はヨーロッパ版『キャプテン翼』の話をしましょう。

実は、『キャプテン翼』はヨーロッパで大人気。流石サッカーの国。私サザえもんの個人的感触では、まさに国民的アニメという感じがします。そういえば、以前テレビ朝日で放送した外国で有名な日本人を紹介する番組で、スペインで一番有名な日本人は大空翼であるという結論を出していましたね。ヨーロッパの現役プロ選手にも強い影響を与えており、ちょっと引用しますと、

ジャルンカ・ザンブロッタ (イタリア代表)
小さいころの僕の一日は『キャプテン翼』を中心に回っていたんだ! みんなで翼のプレイを真似して「いつか彼みたいに上手くなれる!」 って本気で信じていた(笑)。でも、途中から岬くんが僕のお手本になったんだよ。なんといっても、彼は女の子に一番人気があったからね(笑)。
アルベルト・ジラルディーノ (イタリア代表)
小学校のクラスメイト全員が翼に夢中だった。サッカーする時、誰もが翼になりきっていた。プロのサッカー選手になる事が夢だった僕らにとって、翼が歩んでいた道こそ僕らの夢そのものだったんだ。
フェルナンド・トーレス (スペイン代表)
小さいころはハマっていたね。(略) たまにしか見ていなかったのが、次の展開を追って必死に見るようになっていたよ(笑)。(略) 自分を重ね合わせながら見ていたのを覚えているよ。
ダヴィド・トレゼゲ (元フランス代表)
あのころ、もちろん僕だけじゃなく、周りの友達みんながニッポンのマラドーナである翼に夢中だったんだ。(略) いつだって僕のイメージの中には彼のゴールがあった。「夢を与えてくれてありがとう!」って直接翼へ伝えることが出来たらどんなに素晴らしいかって今でも思っているよ。

凄い影響力ですね。なお、上のインタビューは全て『キャプテン翼短編集』2巻から引用しています。他にもロナウジーニョらのインタビューも掲載されていますので、興味がある人はこちらをどうぞ。


イタリア・スペイン・フランスでは知らない人がいないほどの『キャプ翼』。今年7月に、私フランスで行われたJAPAN EXPOなるイベントに行ってきたのですが、そこでもやはり『キャプ翼』は大人気。連載開始から30年経ってもその人気は衰えず、本家日本を凌ぐのではないかと思えるほどでした。


↑店の看板はやっぱり『翼』!


↑『キャプ翼』のDVDがどっさり!


↑ユニフォームも売ってる


↑さらに帽子も! 日本で手に入らないフランスオリジナルグッズがどっさり

というわけで、サザえもんもDVD-BOXを買ってきました。マンガの翻訳版やイタリア版DVDも持っているので、あわせてご紹介しましょう。


↑管理人の海外『キャプ翼』コレクション
(上段:イタリア版DVD、中段:フランス版DVD、下段:フランス版単行本)


↑左:フランス版DVD-BOX、右:イタリア版DVD-BOX

さて、ここでお気づきいただけましたでしょうか? フランスやイタリアではタイトルが『キャプテン翼』ではないのです。下は、オープニングでのタイトル画面です。ご覧ください。


↑フランス版タイトル画面


↑イタリア版タイトル画面

そう、フランスでのタイトルは
『Olive et Tom -Champions de Foot-』
(オリーブとトム -サッカーのチャンピオンたち-)

イタリアでのタイトルは
『Holly e Benji -Due Fuoriclasse-』
(ホーリーとベンジ -2人の凄いヤツ-)
というタイトルになっているのです。

「オリーブ」とか「トム」とか「ホーリー」とか「ベンジ」とか、誰? 何者? 答えはこの2人です!

↑Olivier Atton(仏)
Oliver Hutton(伊)
↑Tom Price(仏)
Benjamin Price(伊)

そう、フランスでは翼君は「オリビエ・アットン」(Olive はニックネーム)で、イタリアでは「オリベル・ハットン」(Holly はニックネーム)という名前で呼ばれており、若林君はフランスで「トム・プライス」、イタリアでは「ベンジャミン・プライス」(Benji はニックネーム)という名前で呼ばれているのです。(※正しくは、フランスでもイタリアでも H は発音しません)

つまり、フランス版タイトル「オリーブとトム」も、イタリア版タイトル「オッリーとベンジ」も、ついでに言えばスペイン版タイトル「オリベルとベンジ」も、全て「翼と若林」という意味なのです!


↑スペインでも『翼と若林』

ということは、若林君がドイツ留学中は、タイトルが意味を成さない!? そもそも、この物語は別に翼と若林のコンビ物語じゃないだろ!

なぜこんなタイトルになってしまったのか…。これは想像ですが、『キャプ翼』の最初に、翼くんと若林くんについて、「こののち このふたりによって 日本サッカー界が大きく発展していくとは この時だれが想像できたろう」ってナレーションがあるんですよね。多分ここら辺のせいでこのタイトル決めちゃったんじゃないかって気がします。もっと先まで読んでタイトル決めればいいのに…。


↑『キャプ翼』単行本1巻より。確かに初期は翼と若林の話だけど…

さて、翼くんと若林くんだけでなく、他のキャラクターも皆名前が変えられています。今は少なくなりましたが、昔は海外版では、子どもたちがキャラクターに親しみを持ちやすいよう、大抵現地名に変えられていたんですよねー。(他の例については北米版『名探偵コナン』イタリア版『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』なんかを参照してくださいね)

ちょっと紹介しましょう。

岬 太郎
→ Benjamin Becker(仏)
(ベンジャミン・ベッカー)
→ Tom Becker(伊)
(トム・ベッカー)
石崎 了
→ Bruce Harper
(ブルース・ハーパー)
日向 小次郎
→ Mark Lenders
(マーク・レンダース)
井沢 守
→ Paul Diamond
(ポール・ダイアモンド)
来生 哲平
→ Johnny Mason
(ジョニー・メイソン)
滝 一
→ Ted Carter
(テッド・カーター)
高杉 真吾
→ Bob Denver
(ロブ・デンヴァー)
浦辺 反次
→ Jack Morris
(ジャック・モーリス)
森崎 有三
→ Alan Crocker
(アラン・クロッカー)
若島津 健
→ Ed Warner
(エド・ワーナー)
沢田 タケシ
→ Danny Mellow
(ダニー・メロー)
反町 一樹
→ Eddie Bright
(エディー・ブライト)
松山 光
→ Philip Callaghan
(フィリップ・キャラハン)
三杉 純
→ Jullian Ross
(ジュリアン・ロス)
立花 政夫&和夫
Jason & James Derrick
(ジェイソン & ジェームズ・デリック)
新田 瞬
→ Patrick Everett
(パトリック・エバーレット)
次藤 洋
→ Clifford Yuma
(クリフォード・ユーマ)
佐野 満
→ Sandy Winter
(サンディ・ウィンター)
早田 誠
→ Ralph Peterson
(ラルフ・ピーターソン)
中西 太一
→ Teo Sellers
(テオ・セラーズ)
葵 新伍
→ Rob Denton
(ロブ・デントン)
中沢 早苗
→ Patty Gatsby
(パティ・ギャッツビー)
ロベルト本郷
→ Roberto Sedinho
(ロベルト・セディーニョ)
吉良耕三
→ Jeff Turner
(ジェフ・ターナー)

とまあ、主要登場人物はこの辺ですかね。あー疲れた…。なぜかフランス版とイタリア版で、岬君と若林君の名前、Tom と Benjamin が入れ替わってるんですが、理由はわかりません。基本的には、イタリア・フランス・スペインで名前は共通です。

以前北米版『名探偵コナン』イタリア版『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』を紹介したときに、名前を変えてもイニシャルだけは残すことが多いと言いましたが、『キャプ翼』では元の名前は完全に無視されていますね。

見ての通り、全員英語名ですね。なんでイタリア・フランス・スペインでの放送なのに、英語名なのか不思議だったんですが、どうも英語からの重訳みたいです。

例えば、『ドラえもん』もイタリアで放送されたんですが、アメリカやイギリスでは放送されていません。しかし、翻訳の際にはアメリカ人翻訳家がまず日本の台詞を英訳して、その英訳を元にイタリア語版が作られたらしいのです。まあ、日本語がわかるアメリカ人と英語がわかるイタリア人はたくさんいても、日本語がわかるイタリア人は少ないだろうからね。


↑小学館の『ぼくドラえもん』という雑誌に載っていた翻訳者インタビュー。
まず英語に訳され、それが各言語に訳された

で、イタリア版とフランス版の『キャプ翼』を実際に見てみたところ、私フランス語とイタリア語はかじった程度なのでほとんど聞き取れないんですが(聞き取れもしないのに何故買う…)、聞き取れる範囲ですと、確かにほとんど同じ翻訳がなされているようです。日本語の台詞と意味が変わってしまっているところまで同じ翻訳だったので、やはりまず英訳が作られ、その後各国言語に訳されたようです。そのため、全員英語名なんですね。最近は日本語をわかるイタリア人やフランス人もたくさんいますので、あんまりこういうことは行われていないみたいですが、昔はこういうことが普通に行われていたようです。

名前はヨーロッパの子どもたちが親しみを持ちやすいよう替えられましたが、チーム名はどうなのでしょう? 胸に南葛とか明和とか書かれていたんじゃ、あっちの人がわからないんじゃないの? と思うところですが、安心してください。アニメ版では、最初から胸のマークはイニシャルのみ書かれていました。その方が作画が楽だからか、最初っから海外進出を考えていたからなのかはわかりませんが。

というわけで、各チーム名はこうなりました。

南葛
→ New Team
(ニューチーム)
明和
→ Muppet
(マペット)
ふらの
→ Flynet
(フライネット)
武蔵FC
→ Mambo FC
(マンボFC)
花輪
→ Hot Dog
(ホット・ドッグ)
難波
→ Norfolk
(ノーフォーク)
東一中
→ Artic
(アーティック)
修哲
→ San Francis (伊)
→ Saint Francis (仏)
(サン・フランシス)
東邦
→ Toho
(※変更なし)

なんだよマンボFCって…。ホットドッグとかマペットとかも何考えてるんだ…。

さて、当然ここで気になるのは、彼らがどこの国の人間なのかということ。名前やチーム名が変えられているということは、舞台も現地イタリアやフランスに変えられているのではないか。当然、皆さんそういう疑問をもったと思います。

安心してください! 彼らは日本人のままです! 何で日本人がオリビエとかベンジャミンとか呼ばれないとあかんねん、と思われるでしょうが、彼らは紛うことなき日本人なのです! 第一話に出てくる富士山も、「静岡県に入った」という台詞もそのままです! (ただし、「南葛市」という名前はなぜか「フジサワ市」という名前に変えられています。何故だ…。理由は全くわかりません)


↑イタリア版第1話。Shizuoka や Fujisawa という台詞がある
それにしても、なぜ Nankatsu が Fujisawa に…?

そして何より、国際大会で彼らはちゃんと日本代表として出てきているのです! 画像も日本版から修正はなく、ちゃんと Giappone(ジャッポーネ) とか Japon(ジャポン) とか言われてますよ。


↑見よ! この日の丸を!


↑見よ! JAPANの文字を!
(※Nouth America は単なる綴りミス。そこは直せよ…)

イタリア人やフランス人やスペイン人は、日本人が自分たちの国を倒して世界大会で優勝するのを見ていて楽しいのだろうか…? 現地の方、是非教えてください。私は、外国のマンガで日本が負けるシーンなんかあったら読みたくなくなります。(イタリア版『レッツ&ゴー』でも、イタリアは悪役だったのに設定そのままだったからなあ。すげえよヨーロッパ…)

余談ですが、イタリア代表のフランチェスコ・トッティがキャプテン翼について、好きなキャラで「マーク・レンダー、ドイツ人だったよね」と発言したことがあり、マーク・レンダー(注:正しくはマーク・レンダー)は日向小次郎のことなので、イタリア版では日向小次郎がドイツ人設定に変えられていると思ってしまったファンも少なくなかったらしいんですが(参考)、ちゃんと彼らは全員日本人のままで、ライバル国も設定変更はありません。

トッティの発言の真意はよくわかりませんが、きっと小次郎とシュナイダーがごっちゃになってたんだろうなあ。トッティの『キャプ翼』好きも、大したことないな(笑)。(まあ、DVDのない時代だし、小さいころに見たアニメなんて大好きでも忘れちゃうよね。管理人も『ワタル』や『グランゾート』よく覚えていません)

というわけで、本当はまだまだ語りたいことがあるのですが、今回はここまで! 次回は、イタリア版やフランス版に隠されたさらなる秘密をご紹介しましょう。乞うご期待!

ではまた!


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この記事へのコメント

ザック
2012年10月17日 10:47
翼ぁー早くきてくれー
2012年10月17日 16:44
ここの記事はいつもおもしろい^^
 
2012年10月17日 22:50
キャプツバよりシュート世代だなぁ
シュートは向こうじゃ売れてないのだろうか?
 
2012年10月17日 23:51
まあ欧米人にはアニメキャラは白人に見えるらしいし・・
_
2012年10月18日 04:47
>まあ欧米人にはアニメキャラは白人に見えるらしいし・・
昔は目が異様に大きなお化けなんて笑ってたけどね
外国人にはとても奇妙に見えていたらしい
自身を重ねるようになったのは日本のアニメで育った世代からだろう
名無し
2012年10月18日 07:01
凄い充実した記事だな
おつかれ
岬くんが好きでした
2012年10月18日 12:46
長い間悩んでいた謎が解けてスッキリしましたよ。
管理人さんありがとう!
そう、登場人物が外国名だったら国籍はどうなの?放送の時にそれぞれの国に置き換えられてるの?
って思ってたんだ。
名前だけ外国名で国籍は日本のままだったのね。
そうだよね、じゃなきゃ自分の国のチームと戦う時、自分の国を違う国籍にしなきゃならないし、ややこしいもんね。
確かに自分の国のチームが負かされるのは嫌じゃないのか?という疑問もありますが「弱小チームが頂点に立つ」的なサクセスストーリーは国籍関係なく、誰もが好きなんじゃないですかねぇ。
しかもその中で、色んな戦略や技術を生み出して、絶妙なコンビネーションで相手を驚かせるという…。相手チームだけでなく視聴者も驚き、そこに自分を投影したり、自分の所属してるチームを投影したりしたんじゃないのかな?
通行人
2012年10月22日 22:54
たいていの場合、外国は格上、強敵として登場するから自国が負けはしてもそれほど気にならないんじゃないかね。
スポ根物や熱血ものは勝負の後はわだかまりが無くなって敵役やライバルと和解したり讃え合うのが王道だし。
アディ・ダスラー
2012年11月08日 01:12
いつも adidas の帽子かぶってる若林くんもドイツっぽいけどね
さいたま都民
2012年11月26日 04:47
キャプテン翼は対戦相手も魅力的なライバルキャラいたからな。フランスにはピエールとナポレオンとか
 
2016年06月23日 05:31
トリビアかな?たしかキャプテン翼の作者は「サッカーのルールを知らなかった」ってネタが凄い印象だった。